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漆塗りヘルメット誕生秘話

第三章 『一喜一憂』

忘れていた初心


チタン粉での下書き

『お力になれません』

その一言でかなり落胆していました。すべてが終わったかのように。そんな時、奥さんの『もともと野寺選手にプレゼントする事が目的だったんだから。』その一言で目が覚めました。そうだ!!当初の目的だけは達成しよう!!イベントに被ってもらえさえすればそれで満足だったはずでした。それが、いつの間にか欲が出て商品として考えるようになり、そのことばかりで本末転倒になっていたのかもしれません。まず、野寺さんに喜んでもらえるものを作ろう。

大切なのは、向き合う事

見た目だけでなく中身も確実なものを作るため、漆の付着性、耐久性を検査機関に依頼しました。しかし・・・その返事は・・・『漆の付着性はあまり良くありません』というものでした。もともと、木ではない物に漆を塗るのだから、木と同じ事を求めるのは無理だったのです。それから周りの方に解決策を教えていただき、なんとか問題をクリアしました。

一つのものを完成させるには想像以上の障害があるもので、一人の力では決して成しえないものだと痛感しています。一人で考えていると、まず間違いなく悪い方向に傾きそうになります。そんな時、誰かと話をするといつの間にかアイデアも生まれ前向きにもなれます。浮かんでは、また現れる問題点を一つ一つ 腐らずに解決してゆくことが大事ですね。問題が山積みなのは当たり前です。初めてのことなのだから・・・

現段階での出来る限りの強度を保った上で、工芸品としてのメンテナンスをしていけば使っていも問題ない。それが、『漆塗りヘルメット』なのだと。完成させて、検査機関の再試験データをもう一度OGK KABUTO様に送ろう。ダメもとで。完成間近となったある日、OGK KABUTO様より一本の電話が鳴りました。『全日本選手権ロードレース2009』まであと二週間のことです。