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漆塗りヘルメット誕生秘話

第一章 『出会い』

きっかけは、必然に

人との出会いは偶然ではなく、すべては必然なんだと思います。今、自転車用品に漆を塗っているのも、すべては『あの時、あの人に出会ったから。』『あの時、ああしたから』それは偶然ではなく、今やっていることのための必然的なものだと。

きっかけは2008年の『Jサイクルツアー輪島ステージ』でした。当時私はロードレーサー(ロードバイク)に乗ってはいたものの、ロードレースにはそれほど興味は無く、選手の顔も名前もほとんど知りませんでした。ただ私の奥さんがスキルシマノ(当時)栗村コーチのファンだったので、当日は観戦に行くことにしました。

私の想像をはるかに超えていました。スピードといい、走る距離といい、輪島のコースは激坂だというのに、レース終了後平然としている選手たち。さらに驚いたのは、選手との距離でした。雑誌で見たことのある選手たちが目の前にいて、気軽に話してくれる。一気にロードレースが好きになりました。

信じられない一言


試作品の蜻蛉(とんぼ)蒔絵

数日後、野寺選手のブログ に 『漆塗りヘルメットが欲しい』とのコメントが!!おそらく冗談だったのでしょうが、そこは本気にしてしまいました。『作らせてください』とコメントすると、『チームに問い合わせてみます』と驚きの返事が!!当時、ヘルメットのスポンサーが変わるところだったようですが、数日たって『問題ありません』と連絡があり、すぐに自分のヘルメットで試作に入りました。

そこでまず問題になったのは、実用に耐えうるものかどうか?ということ。漆がもっとも苦手なもの、それは紫外線なのです。次に重量。輪島塗にしてしまうとヘルメット自体の重量が増えること。この二つをクリアするために、試行錯誤した結果、ついに試作品が完成したのです。